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インダストリアルデザイン – ひとつの見かた

現在、インダストリアルデザインと呼ばれているデザインの潮流をたどると、19世紀から20世紀初頭にかけて起きた工業技術革新に行きあたります。

いまでこそパリのエッフェル塔は誰もが愛する建築物ですが、お披露目された1889年のパリ万博当時、一部のパリ市民はそれを景観を壊す鉄の塊(300メートルあります)と忌み嫌っていました。花の都に強烈なインパクトを落としたエッフェル塔。裾野の広いデザインは、当時世界一の高さの塔をささえる高度な設計を体現し、塔の中軸には、最先端の長大なエレベーターがありました。つまり、インパクトの本質は、機能とデザインを見事に融合させたまったく新しいデザインの潮流だったのです。

 

 

この頃、技術の飛躍的な発展とクリエイティビティが組み合わされて、工業設備や家具のデザインを劇的に変えてしまう「モダニズム運動」が起きました。そして、革新的なデザイナーたちが、科学的で技術的な視点を持って新しい造形やシステム、デザイン表現を探し出そうとしていました。アンリ・リベルが当時の最先端の職業、タイピストのためにデザインした椅子は、今日のオフィスチェアの源流として知られています。機能性追求に明け暮れたその後の一世紀を経てなお、それは斬新な存在感を放ちます。

 

 

インダストリアルデザインを掘り下げていくと、このように、20世紀を覆っていた巨大な技術革新と、機能的な要請にそこで応えようとしていた革新的なデザイナーたちの情熱にまみえることになります。インダストリアルデザインに私たちが魅力を感じるのは、地球の歴史に一頁にある、一連のデザイン革新への情熱に、無意識に惹かれているからかもしれません。

 

インダストリアルデザインの奥深さを、NEWS&TOPICで、これから折に触れて取り上げていきたいと思います。

 

(Taka)

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